昨今、耳なじみになってきた言葉に「実家じまい」という言葉があります。
一昔前は、実家は家族の集う場所として後世まで残しておきたい、いや残すべきものだとする流れの方が強かったのですが、現代は、マイホーム志向も一昔前より少なくなっており、実家という存在が、孫子の代までさまざまな面で苦しめてしまう存在になりつつあります。
実家という存在を考え直す時代に突入したのかもしれません。
ここでは「実家じまい」とはなにか?
「実家じまい」をするとどうなるのかを簡単に触れてみたいと思います。
この記事を読まれて「実家じまい」ということを検討するきっかけにしていただけると幸いです。
詳しい話を聞きたい場合は、お気軽にお問い合わせください。一緒に課題解決していきましょう。
「実家じまい」とは
「実家じまい」と似たような言葉に、「家じまい」という言葉があります。
「家じまい」は、終活の一環として自分の住んでいる家を処分し、新しい家に住み替えることを言います。
一番多い例としては、一軒家からマンションや老人ホームなどの施設への入居などではないでしょうか。
住んでいる本人が終活の一環として行うものになります。
では「実家じまい」となると、一番多いのは実家に住んでいたご両親が亡くなり、残された実家を売却・処分することになります。
つまり、遺された子ども世代が行うものになります。
ただ、先にも申しましたように、実家は残しておくべきものだと、どこか意識の奥深くで刷り込まれてきたように、なかなか売却に踏み切れないもどかしさもあるでしょう。
子どもが、実家に継続して住める状況であると一番良いのでしょうが。
実家が空き家になると
ご両親が亡くなり子どもが実家に住まない(他に家を建てた、県外に住んでいる等)となると、必然的に賃貸として貸しだすか、売却をしない限り空き家の状態が続くことになります。
空き家になるとさまざまな問題が発生します。
例えば、
・維持管理のために多額の費用がかかる
・経年劣化により家屋倒壊などのリスクが増える
・災害のたびにリスクが高まるばかりか、精神的に疲弊する
・適切な維持を行わないと景観が損なわれる
・不審者が侵入するなどのリスクが増える
・犯罪発生や放火のリスクも高くなる
・周辺の治安に深刻な影響を与え、近隣に多大な迷惑をかける
…など
目に見えるリスクは以上のようなものがありますが、それと同じような問題に「特定空き家」に指定されてしまう恐れがあることです。※「特定空き家」についてはこちらを参照ください。
※参考「特定空き家」に指定される4つの状態
・衛生上有害となる恐れがある
・倒壊などの保安上の危険がある
・周辺住民の生活環境を妨げている
・景観計画やルールに適していない
詳しくは今後別記事を追加していきます。
「特定空き家」に指定されるとどのようなリスクがあるのか?
・自治体から所有者に対して、特定空き家に対して修繕などの措置を行うよう助言、指導、勧告、命令が行われます。
※命令に従わない場合50万円以下の過料が発生します。
・特定空き家に指定されて自治体から勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。
※最大6倍になることもあります。
「実家じまい」の重要性
話は少し脱線しましたが、実家を空き家のまま保持していくには相当なリスクが付きまとうことは理解いただけたと思います。
しかし、「先祖代々の土地を売却するのは嫌だ」という方も少なからずいるのは間違いないでしょう。
上記のことを踏まえ、多額な費用をかけてでも維持していくということであれば、そのまま空き家として子どもたちの世代に引き継ぐのも良いでしょう。
ただし、次の世代にも同様の負担を強いてしまう可能性があるので、子どもたちとしっかり話し合うことも大切でしょう。
費用はかけられないが、「手放したくはない」という場合は、賃貸として貸しだすことも一つの手です。
自分たちは住めないが、将来は財産として遺してあげたいという気持ちもよく理解できます。
ただ、ここでも考えないといけないのは、次の世代に渡すときには建物は劣化しているということです。修繕するにも費用がかかりますし、解体するにも費用がかかる…次の世代がこの住宅を利用しない場合同じような負のループに悩まされることになるので注意が必要です。
では、具体的に「実家じまい」の方法についてみていきましょう。
「実家じまい」はいつしたほうが良い?キーワードは「3年」
先述したとおりなるべく早く行うことが良いでしょう。
・時間が経てばたつほど無駄な出費が増える
・空き家状態が続くと建物の劣化が進む
・空き家状態が続くと災害や犯罪などのリスクが増える
以上のような観点からも一日も早く「実家じまい」をしたほうが良いことはわかると思いますが、忘れてはいけないのは<売却するときの税金>です。
「不動産を相続した際、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却すると譲渡所得税が節税になる特例があります。」
一定の要件を満たすと、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。※令和4年6月22日現在
※熊本県内で一般の住宅であれば凡そ満額適用されるケースが多いと思います。
※他の特例としては「取得加算の特例」もあります…相続後3年10か月以内に相続財産を売却した場合は、相続税額の一部を取得費に加算することにより、譲渡所得にかかる税金が軽減。3,000万円特別控除との併用は不可。
上記の点を踏まえて、相続を受けた日から3年以内を目途に「実家じまい」を完了させたほうが良いでしょう。
ただ、3年という月日は早いもので、気が付けばあっという間に3年以上経過しています。※よく聞く経験者談より
一日も早く行動に取り掛かることをお勧めいたします。
3年以上経過していたら?
3年以上経過したら税金の特例なども受けられないからそのままにしておいていいのかな?
いえいえ、先にも述べましたように、無駄な経費が永続的にかかりますし、心配なことが増えてきますので早めに対策を講じることが大切です。
売却するにしても、賃貸として貸すにしても、一日も早く行動を起こすことが大切です。
空き家のまま放置しないことが一番大事です!
「実家じまい」の方法は?
「実家じまい」とは単に不動産を売却するということだけではなく、賃貸として貸しだすのか、保持していくのか、遺品整理をどうするか…などなど、さまざまなケースを考慮しながら、他の相続者との協議も必要になると思いますので意外と大変です。
ここでは、売却のケースで見ていきます。
理想的なケース
1.実家が必要ない場合は、ご両親がご健在の時に先に実家を処分しておく。
↓
(メリット)事前に他の相続分含め家族で相談がしやすい。
(デメリット)ご両親の住まいの準備が別途必要。
2.ご両親が亡くなった時に不動産業者へ相談するよりも、ご両親がご健在の時に事前に相談だけしておく。
↓
(メリット)亡くなられた際に早めに相談することができる。
(デメリット)相談時と売却時の状況に応じ、価格を含め変動が生じる恐れがある。
よくあるケース
1.亡くなられたのち、不動産業者へ相談。
※基本的には亡くなられたのち、数年が経過して相談に来られる方が一番多くなります。
2.建物老朽化等に伴い、売却活動開始。
※建物の維持が適切に行われていないと、販売価格に影響が出るだけではなく、販売困難な事態になります。
3.火災保険などの満期が近づき、売却活動開始。
※すぐに売却できるのであれば問題ありませんが、売却が長引いたりすると更に支払う費用が増えてしまいます。
実際の例に基づいて「実家じまい」の流れをみてみましょう。
例)父親が他界して5年。実家(築20年)に一人暮らしをしていた母親が1年前に亡くなり、県外に住む子どもたちが、実家に住むことないため売却もしくは賃貸として貸すことを決心。そこで、弊社にご相談をいただきました。 |
1)弊社サイトの売却査定フォームより相談が届きましたので、数回のやり取りの後、ご実家の鍵を親戚にお借りし内見。
※お問い合わせはサイトのフォームからでも、お電話でも、LINEからでもお気軽にどうぞ。
2)ご実家の査定額を算出(売却額・家賃額)し、査定書を提出。
※査定のご依頼時に、家賃額や買取の査定もしてほしいと申し出ていただければ一緒に査定いたします。
3)査定書をもとに売却で進めるか、賃貸で進めるか協議のうえ、売却で進めるということになり売却活動を開始。
※ご提案は致しますが、最終決定はお客様のご判断で大丈夫です。
※ここで一旦保留となっても問題ありません。
3-2)売却活動を行うのと並行して、ご実家の家財等不用品の処分をしてもらうようにするが、県外在住のため難しいということで不用品処分の見積書提出。
※このケースの場合、先に処分費用を捻出するのが厳しかったため、売却が決定したのち作業に取り掛かり、費用は売却費から差し引くことになりました。
※それぞれの事情がありますので、ケースバイケースで対応させていただきます。
4)物件売却期間中は、内見時には事前に報告してをお預かりしていた鍵を使用し弊社立会いのもと案内を行います。
※定期的な換気も必要な場合は弊社の方で行います。
※鍵をお預かりした場合などでも、入室する際には事前承諾をとりますのでご安心ください。
5)数回の内見の結果成約に至り、契約を締結。
※県外で契約に立ち会えない場合は、事前に契約書類等を送りますので、無理して来られる必要はありません。
5-2)契約締結が終了し、買主がローン審査が通りましたので、家財等の不用品の処分に取り掛かる。
※このケースは、不用品処分が後回しになっていたため、ローン審査が通った後作業を行いました。
6)不用品の処分等も終わり、買主の融資実行日が確定したので、決済をおこない建物の引き渡しを行いました。処分費はこの時点でいただきました。
※このケースでは、最後に建物を見たいということで売主様立会いのもと決済・引き渡しを行いました。
※都合がつかない場合は、委任状で対応できますので無理して来られる必要はありません。
以上が、簡単な流れの一例となりますが、それぞれのご家庭により事情も千差万別なので、しっかりと協議のうえご理解ご納得したうえで進めていきます。
まとめ
「実家じまい」という言葉が聞きなじみになってきた背景には、少子化・核家族・高齢化などがあり、そこに付随して空き家問題や相続法の改正なども加わり、実家を保有していくことが困難になってきている実情があるのかもしれません。
また、実家というものが「家」という形式的なものではなく、両親のいる所が「実家」であるという心情的なものに変わってきているのでしょう。
形だけに拘らず、心が繋がっていることのほうが重要だと思える現代も素晴らしいのではないでしょうか。
実家が負の資産になる前に、心豊かな道しるべになるようにしていきましょう。
相談は無料なので、お気軽にコージーライフ.までご相談ください。